植物細胞学研究室

研究テーマ

研究テーマ

植物の周囲の環境に巧みに適応する高い能力“不思議な力”をゲノムやエピゲノムの観点から理解するために、トランスジェニック技術などのバイオテクノロジーを駆使して、DNA・RNA・タンパク質レベルでの実験・研究を行っています。また、植物の研究を通してすべての生物に共通する命のプログラムを理解するために重要な成果が得られることを目指しています。


lipoxygenase阻害剤およびα-glucosidase阻害剤の分離・精製

エピジェネティック機構による植物の環境記憶

自然界において、植物は頻繁に病原微生物の感染、高温、低温、乾燥、土壌高塩濃度など様々なストレスに直面しています。いったん発芽してしまえばその場から移動することができない植物は、1度受けたストレスに繰り返しさらされる可能性が非常に高い。実際、植物が1度経験したストレスに対して2度目にはより強く効率的に抵抗する、いわゆる1度目のストレスを“記憶”する例が知られておりますが、脳を持たない植物はどのように記憶を行うのでしょうか?この謎を解き明かすため、植物の環境記憶を形成すエピジェネティック情報の解析を行っています。

カイコの変態における絹糸腺分解の分子機構

シロイヌナズナ耐病性遺伝子のエピジェネティック制御

動物と同様に、植物ゲノムには多くの耐病性関連遺伝子が存在しています。病原微生物の感染に備え、植物は非感染時でも耐病性関連遺伝子を低レベルで発現させておく必要があると考えられます。その一方で、非感染時における過剰な耐病性関連遺伝子の発現は、病原微生物が存在していないにも関わらず植物細胞が常に防御応答を行いエネルギーが消費されるため、植物体の正常な生育が阻害されてしまうでしょう。このように、防御応答と生育のバランスを保つためには、耐病性関連遺伝子を適切なレベルで発現させる必要があリマス。適切な遺伝子発現を可能とする仕組みを解き明かすため、クロマチン立体構造変化を制御するエピジェネティック因子や非翻訳性長鎖RNAの解析を進めています。

植物の老化と細胞死に関する研究

植物免疫獲得における遺伝子/生体分子ネットワークの解明

世界人口の増加による食糧不足や、エネルギー資源の枯渇の問題から、植物バイオマスなどを利用した未来へ向けた低環境負荷型循環エネルギーシステムの構築が不可欠である。しかし、作物の総生産量の約15%(10億人分の食料に相当)が病害により失われているのが現状である。このような問題を解決するため、高い耐病性を持つ作物を作出することが望まれている。そのためには、植物免疫のメカニズムを分子レベルで理解する必要がある。本研究では、植物免疫獲得における遺伝子/生体分子ネットワークがどのように構成されているのかを解析しています。


分泌型微小顆粒(secreted extracellular vesicles)に関する研究

食虫植物の進化に関する研究

食虫植物は‘ふつうの植物’からどのようにして進化してきたのでしょうか。食虫植物に特有の遺伝子(獲物の消化吸収に関わる遺伝子や捕虫葉形成に関わる遺伝子など)を探し出して解析することで食虫植物の進化を解明することを目指しています。研究材料には、ハエトリソウ、ミミカキグサ、ビブリスを用いています。

オタマジャクシの可塑性に関与するプロテアーゼの分離精製と機能解析

染色体の構造と機能に関する研究

核型や倍数性の分析、染色体を構成するDNAの分析を通じて、栽培植物の起源の解明や絶滅危惧種の分類同定に役立てます。また、FISH技術などを用いてクロマチンの構造解析も行っています。

分泌型微小顆粒(secreted extracellular vesicles)に関する研究

植物の系統分類・識別同定に関する研究

DNAの塩基配列を比較分析する技術を用いて、さまざまな植物の系統分類および識別同定に関する研究を行っています。これまでに、園芸バラ、野生のノイバラ、絶滅危惧種のハナシノブ、ミャンマー産の有用植物、ヒルムシロなどの水草などを対象にしてきています。これらのいくつかは研究室の卒業生を含む学外の研究者との共同研究で行っています。


オタマジャクシの可塑性に関与するプロテアーゼの分離精製と機能解析

植物の環境ストレス適応に関する研究

植物は周囲の環境からさまざまなストレスを受けていますが、野生植物の中にはそのようなストレスに対して強い抵抗性を持つ植物もあります。そのひとつであるマメ科Acacia mangiumの酸性土壌耐性に関わる遺伝子の解析を行っています。これまでにいくつかの候補遺伝子を見つけ出しており、遺伝子組換え技術を用いてそれらの機能を分析しています。


核酸・蛋白質科学研究室
研究テーマ
研究室での教育